働くとはどういうことか、働くということの意味はどこにあるのかがわかる
この本の主張をまとめると、「知的体育会系人間が弁証法的にイノベーションを起こす。経営とは、知的体育会系人間を生かし、知が立ち上がっていくための「場」を作っていくことにある」。野中先生の「知識創造型経営」についてはちくま新書の本などでは中々解りませんでしたが、この本は現場の実践とセットにした説明でとても解りやすい!。「下流社会」で三浦氏が描いている気ように今の若者が救いがたいまでにやる気をなくしています。働くことの意味が解らなくなっているからだと思いますが、それは経営者が知的体育会系人間が活躍する場を作ることを怠ったためではないか。働くことの本質はバカバカしくダサイこと(身も心も洗濯機になるとか、缶コーヒーの鬼になるとか)にドラマを見いだすことだと解るので、経営者より社会に出ようとしている若者にオススメ。知的体育会系人間としての自分を生かすことのできる場を仕事場として選ぶべし。
日米のイノベーション論
イノベーションに関しては、現在米国のビジネススクールでも活発に議論されている
分野であり、本書は日本を代表する論者によるケースワーク。
相対価値ではない絶対価値を追求する主体的コミットメントの中で、形式知だけではなく
暗黙知を個人及び組織の中の場で十分形成していくことの重要性を強調。
論理分析的競争戦略への過度の傾斜を批判し、直接経験に基づく実存の重要性にも言及。
ケースワークとして13の例を取り上げているが、上記の観点からの説明は非常に
明確になっている。
本書とあわせ日本でも話題になった、ブルーオーシャン戦略とあわせ検討してみるのも
面白いと感じた。
コンセプトに本質あり
屈指のジャーナリストと日本を代表する経営学者の見事な共同作品です。
具体例から入り、そこに解説をするという企画が非常にユニークで、読者をひきつけます。
「本質」について個人的な見解としては、筆者らはコンセプトの抽出にその本質を求めたのではないかと思います。
声にならない潜在ニーズをコンセプト化せよ、という教えは決して新しくないかもしれませんが、本書を読んで、あらためてその意味を深く理解できました。
経営学は、サイエンスとアートの二つの側面をもっているといわれますが、まさにその二面性をうまくとらえた秀逸な作品です。
本質なのかなあ?
「失敗の本質」を書かれた著者に対する期待値がとても高かっただけに、少しがっかりしました。
13のケースの紹介はとてもおもしろいですが、少しケースの数を減らしてももう少しケースの内容を掘り下げていただいた方が良かったのではないかと思います。
業界構造の紹介、ライバル企業の対応、失敗例の紹介などもあると良かったと思います。
企業でのヒアリングをそのまま文字にした印象がぬぐえません。
各ケースの解説も結局暗黙知・形式知のSECIモデルと「場が大事」ということで、特に目からウロコは落ちませんでした。
元気と勇気とヤル気が湧く本
本書の特徴は2点。1つ目は最近の日本のヒット商品13を題材としたこと。「DAKARA」から「千と千尋の神隠し」まで、身近で幅広い題材を取り上げているので、非常にイメージしやすい。2つ目はそれぞれの章が「物語編」と「解釈編」の2つのパートで構成されていること。ジャーナリストがプロジェクトX風に綴る「物語編」では、商品開発にかける人たちのアツい情熱や深いコミットメントが描かれていて、それだけでも読む価値アリ。さらに、知識創造理論で有名な野中教授が、学者の観点からそれらの開発物語を解説する「解釈編」が、さらにこの本の深みを増している。 欠点をあえて挙げるならば、いわゆる「後づけ」的に感じる部分も多々あります。成功したからいいけど…と思う部分も。また、それぞれの事例ごとに書かれているので、理論の展開という部分では少し弱いかもしれません。「知識創造理論」の概要くらいは知っておいた方がいいかも。 この本のテーマは「絶対価値の追求」と「主体的なコミットメント」。おそらく日本人にとってはものすごく共感できる内容のはずです。輸入ではない国産の物語に元気を、成功事例から一歩踏み出す勇気を、各物語の登場人物の真摯な仕事への取り組み方からヤル気をもらえます。 最近の事例が多いので、今が旬な内に読むことをオススメします。
日経BP社
イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学 知識創造企業 知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代 (ちくま新書) 知識創造の方法論―ナレッジワーカーの作法 戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ
|